花のうた



旅立つあなたに一握りの種をあげます
いつかここに花を咲かせるために

特別な土にしか咲かなくて
水はあげなくて結構です
塩水なんてもってのほかで
しばらくほうっておいた方が綺麗に咲きます

ずっとあなたに
なにもあげたことなんてなかったから
なんだか照れます
でもこれはあなたのもので
私には私の土に
あなたにはあなたの土に
それぞれの花が咲くんです

土はもうすでに肥えました
種はここにおいていくんだよ
ほら 突っ立てないで
大事なものを握り締めてちゃ光も与えられないから
その手を広げて?
指の間からこぼれる無数の種はあなたの心に根を張るから
さぁ今
広げた手を伸ばして
次の扉を広げて
振り向かないで
きっと植えた場所も忘れて
新しい世界でいろんな花をみるだろうけど
この花はちゃんとここに咲き続けるから
さぁ走って


いつか鴎があなたの元を
遠い遠い空から訪ねるでしょう
その口に鮮やかな花をくわえて

その時だけ
そっと振り返って思い出してほしい
その花の名を








七畳半